山陰海岸ジオパーク野外学習ハンドブック(鳥取砂丘を中心にして)

児童の工作・実験による砂丘の風の体験

ねらい

鳥取砂丘は,自然の風の力によって砂が自由に動く空間が残されているのが特徴である。風(空気の流れ)は目には見えない。砂粒も小さくてその動きは目にも止まらない。砂は砂丘のなかでどのような動きをしているのか。空気の流れと砂の動きを観察するために,風輪・風球を作って実験してみよう。

実験・実習

1. 風に乗って動くものにはどんなものがある?

 木の葉,タンポポの種子,紙くず,シャボン玉,風船,煙・・・いろいろなものが風で飛ばされる。これらのものが動いていく様子をよく観察すると,ころころ転がったり(転動),ピョンピョン跳ねたり(跳躍),フワフワと浮かんだり(浮遊)しながら吹いてくる風に乗って動いている(C14 の図1参照)。
 このような動きの違いは,風の強さや動いていくものの重さの違いが関係している。 砂粒は,概略2ミリメートルから0.02ミリメートルの大きさの鉱物(石の欠片)を言う。一番大きな粒(2mm)は一番小さな粒(0.02mm)の100万倍の重さがある。そのため,いろいろな大きさの粒が混じった砂丘の砂は,動くときには上に述べたような3通りの動きをすることがわかっている。

2.色紙を使って風輪・風球を作ってみよう

 準備するもの:色紙,コンパス,定規,鋏またはカッターナイフ
次のページの作り方をよく見ながら,図面を描き,切り取って,組み立てる。

  1. 風輪を作ろう(図1)
  2. 風球Ⅰを作ろう(図2)
  3. 風球Ⅱを作ろう(図3)
  4. 風球Ⅲを作ろう(図4) 
  5. 風球Ⅳを作ろう(図5)

3.作品で砂丘の風を体験しよう

 長者ヶ庭の広場,馬の背・追い後スリバチなどの斜面で遊ぶと,風輪や風球の面白い動きがよく見える。とくに,風が強い日には面白い・不思議な動き方をするのがわかる。なぜそのような動きをするのか考えてみよう。観察が終わったら,砂丘を散らかさないように,紙球を持って帰るよう心掛ける。

4. あなたも風で転がる新しい紙細工作品を考案してみよう

 ここで示した風輪・風球は,風で動きやすいことを目指して考案されたものである。図1から図5になるにつれて複雑な造りになっている。児童の年齢に応じて円の大きさや色を選んで工夫すると,予想以上に新しいものを作ることができ,新たな体験ができる。よく転がるもの,児童の自宅の机の上に置いて飾りにできるようなものなど,自信作ができるようになったら友達や家庭でも作り方の競争などが出来,作品コンテストや苦心談発表会などでも楽しめる。
 植物の種子は,遠くまで風で飛ぶような形をしたものが多い。地域の周囲で植物の種子を集め,風の日に飛び方の観察,滞空時間,飛距離などを競う展開の中で,なぜ植物はこのような特性をもっているのか,風を意識しながら考える機会につなぐこともできる。生活に使われている道具にもいろいろ風(気流)を利用する工夫があることなども,学習に取り入れることが出来る(例:家の周りの風と洗濯物干し場,農家の穀類の風選(とうみ)など)。

注意

実験は車が走る所では危険なので。学校の運動場,公園の広場など安全な場所で遊ぶよう注意する。


(神近牧男;2011.03.04)