山陰海岸ジオパーク野外学習ハンドブック(鳥取砂丘を中心にして)

砂丘における天体写真の撮影

選定理由

広大な鳥取砂丘に夜間足を踏み入れると,街灯による影響を受けにくいため,星空が一段と輝いて見える。そのため,砂丘地内は天体写真を撮影するには格好のポイントであるといえる。この好条件を利用した天体写真の撮影方法について紹介する。一度,夜の砂丘地内に足を運んでみてはいかがだろう。


図1 撮影に適した地点

位置(撮影に適した地点:図1)

◎地点1:鳥取砂丘休憩舎前の駐車場より砂丘地に入ったところ。
北緯 35°32′19″ 東経 134°13′25″

◎地点2:市営駐車場(福部)から砂丘地に入り,斜面を降りたところ。
北緯 35°32′44″ 東経 134°14′7″

◎地点3:追後スリバチ付近。
北緯 35°32′26″ 東経 134°13′59″

*もちろん,他の場所でも可能であるが,これらの地点は駐車場から近く,活動しやすい。

必要な器具

カメラ一眼レフカメラが適している。コンパクトデジタルカメラでも,10秒以上の長時間露出ができるものであれば撮影は可能。
三脚カメラを固定するために必要。しっかりとしたものがよい。
懐中電灯カメラの操作をするときに必要。あまり明るすぎないものがよい。
星座早見盤星座の位置を知りたいときは,あると便利。
リモコンリモコンやリモートコードがあると,シャッターを押すときのブレを防ぐために便利。なくても撮影できる。

撮影方法

  1. 図2のように,カメラを三脚に固定する。
  2. カメラを撮影したい方向に向ける。ズームレンズであれば,あまりアップにせず広い範囲が写るようにしたほうがよい。
  3. 一眼レフカメラであれば,レンズをMFモード(マニュアル)に切り替え,ピントを無限大(∞)にしておく。(図3)(ピントはだいたいこのままでもよいが,一度明るい星を撮影し,モニタで拡大して確認すると正確に合わせることができる。)
  4. 撮影モードをM(マニュアル)に切り替え,シャッタースピードを30秒以上に合わせる。露出時間が長いほど星の動いた軌跡が長く写り,よりたくさんの星が写るようになる。(ただし,露出時間が長いほど,市街地の明かりが写り込むようになる。)
  5. 絞りはできるだけ開いておく(小さな数字に合わせる)ほうが,星が明るく写る。また,ISO感度を800以上に上げておくと,星がより明るく写る。
  6. カメラができるだけ動かないように,シャッターボタンを押す。このとき,黒い紙などでレンズを覆っておき,シャッターボタンを押してから紙をはずすと,シャッターによるブレを防ぐことができる。

※デジタル一眼レフカメラでは,ノイズリダクション機能がオンになっていると,撮影後,露出時間と同じ時間だけシャッターが閉じ,操作ができなくなります。


図2 カメラを三脚に固定する


図3 カメラのピントを無限大に設定する

注意事項

 鳥取砂丘は国立公園および国の天然記念物に指定されている。活動に際して,勝手に植物を採取したり,砂を持ち帰ったりすることのないよう気をつける。また,「日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例」により,落書き,花火,ゴミのポイ捨てなどが禁止されている。これらの行為についても気をつけたい。

天体写真の作品例

◎西の空に沈むオリオン座と冬の大三角(図4)
2009年3月15日20:25撮影
18mm F3.5開放 ISO800 露出60秒

◎北極星と北斗七星(図5)
2009年3月15日21:05~21:20撮影
18mm F3.5開放 ISO800 露出 30秒×30枚
Photoshopにて比較明合成


図4 西の空に沈むオリオン座と冬の大三角


図5 北極星と北斗七星

(吉田祐一郎;2009.3.20)