学部長あいさつ

地域学部長 研究科長 塩野谷 斉

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、人びとの暮らしにあまりにも大きな影響を与えました。それは学生生活も例外でなく、大学では、対面を避けてオンラインで授業が行われるなど、様々な対応が求められました。しかしながら、今はようやく以前の生活が戻り、授業も対面が基本となって、学生同士のディスカッションや地域へ出向いてのフィールド調査や、逆に多くの分野の地域人材をお招きして直接お話を伺う授業も行えるようになりました。

 私たちの地域学部は、2017年度にそれ以前の4学科から1学科3コース(地域創造、人間形成、国際地域文化)に改組されて、地域の諸課題に対してより一体的に、学際的、総合的なアプローチを行うこととなりました。その流れの中で、実地に地域と交流する機会を取り戻したことには、やはり大きな意味がありました。学生生活を通じて、いわゆる座学での理論学習はもちろん、「地域調査プロジェクト」をはじめとする授業やそれ以外の課外活動での体験的な学びも進めやすくなったわけです。

 地域学部では、グローバルな視野を持ちながら、同時に、人びとが暮らす地域に軸足をおいて、「アカデミックな知」と「地域社会で育まれた実践的な知」をともに、というより融合させた学びを目指しています。卒業後の進路は様々ですが、ここでの学びを踏まえて、自治体の行政職として、保育所・幼稚園・小学校・中学校・高等学校等の保育・教育職として、あるいは、民間企業や文化交流等の広範な分野で、多くの卒業生がまさに地域のキーパーソンとして活躍しています。

 今日の社会では、もはや右肩上がりの経済発展は望めなくなったのかもしれません。しかしそのことは、そのまま人びとの暮らしが貧しくなることを意味していないと思います。人が人として生きる上で、経済的な面もけっして軽視するわけではありませんが、同時に、在学中の様々な分野での地域連携を通じて、それだけでない豊かさを実感できる暮らしを支える人材の育成を行っています。そして何より、多くの学生が意欲的な学びを進めていることをうれしく思っているのです。

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