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研究課題について

教育実践部門 研究一覧

担当者 研究テーマ 内容
鈴木慎一朗 小中連携における鑑賞活動のカリキュラム開発に関する研究 本研究の目的は、小中連携における鑑賞活動の具体的なカリキュラムならびに「鑑賞ポートフォリオ」を作成し、小中連携における鑑賞活動のカリキュラム開発を行うことである。
方法:
  1. 附属小学校、附属中学校、大学の教員による協議に基づき、従来のカリキュラムの見直しを行い、小学校第5学年から中学校第1学年までの「鑑賞カリキュラム」を作成する。さらに評価基準、評価方法を確立する。
  2. 子どもによる自己評価を確立するために、小中で一貫して使用する「鑑賞ポートフォリオ」を作成する。
予想される結果:
  • 「鑑賞カリキュラム」ならびに「鑑賞ポートフォリオ」を作成することにより、小中の円滑な接続が促されると同時に、鑑賞活動の評価方法も確立できる。
三木 裕和
  1. 全国障害者問題研究会レポート発表
    全国障害問題研究会全国大会分科会において、本学附属特別支援学校の実践報告を行う。自分づくりにもとづいた事例検討2本を予定しており、要素主義的行動変容型指導への対置的報告として価値がある。4名参加、8月、岐阜市
  2. 日本教育大学協会全国特別支援教育部門合同研究集会神戸大会参加
    本学附属特別支援学校と共通性を有する神戸大学附属特別支援学校を会場校とする研究集会であり、教育実践上の課題を明確にするうえで有効である。4名参加、11月、明石市。なお、26年度の本センター事業として7名が同校を学校視察した実績がある。
高橋ちぐさ  「生物多様性の理解」は生物分野における重要な柱の一つである。その重要性から、新学習指導要領では、小→中→高と系統立てて教えることが唄われている。
一方現場では、子どもたちに「生物多様性の理解」を図る授業は難しいと敬遠されており、教授の視点や教授法、教材の検討・改善が求められている。
「多様性」を理解させるためには、同等レベルで「共通性」の理解が肝要と考える。よって、授業づくり・授業実践は、「共通性」に裏打ちされたものとする。また、多様性を効果的に理解させるには教材(取り扱う生物材料)の工夫も欠かせない。
 本研究では、附属学校教員と共同し、「生物多様性の理解」を図る授業づくり(教材の検討、教材開発、教材提示方法)、実践および評価をおこなう。
 
小笠原 拓 学習者の批評力・解釈力・表現力を育む言葉の指導に関する研究
-ワークショップ的手法を用いて-
 国語科指導においてこれまで十分に指導がなされてこなかった「批評・解釈・表現」の力を育むことを目的として、ワークショップ的な方法を取り入れた授業(単元および教材)の開発を行うとともに、その意義や効果について検討する。

方法等:
  • 附属学校においてワークショップ的手法を用いた授業および教材の開発を進める。
  • 学習者の観察や学力調査などのデータを元に、授業が果たした意義や効果について検討を行う。
  • 研究発表大会において授業や研究成果を公開することで、その意義を広く一般に問うことができる。
関  耕 二  近年、鳥取県の児童の新体力テストの結果は、全国平均と比較してやや高いものの、投能力の指標であるソフトボール投げは全国平均と比較して恒常的に低い状態である。また、この傾向は附属小学校にもみられる。
一方、小学校の陸上大会においては、投擲種目としてソフトボール投げの代わりにヴォーテックス投げに変更が予定されている。ヴォーテックスはソフトボール投げより動作特性から肘を高く上げることに貢献し、やり投げに繋がるといわれているが不明な点が多い。
 そこで、附属小学校および中学校の全児童・生徒においてソフトボール投げを含む新体力テスト実施時に、同ヴォーテックス投げを行いテスト項目との関連を検討するものとする。
 本研究の結果より、ヴォーテックス投げの関連体力が明らかとなり、発達特性も把握することができ、投能力向上のための基礎的資料を得ることができる。
 
武田 信吾
高橋 千枝
小笠原 拓
附属学校教員のキャリア形成過程と内的変容に関する質的研究
-インタビュー的手法を用いて-
附属学校教員のみならず、学校教員は児童に対する学習指導を日々実践しながら、同時に自らのキャリア形成を行い続けている。
しかしその内面的な成長の過程や、そこにもたらされる様々な葛藤については、十分な検討がなされてこなかった。
本研究は、インタビュー的な手法を用いてその内実を明らかにし、教師のキャリア形成にどのような支援が必要かを探ろうとするものである。

方法等:
倫理面やプライバシーにも配慮したインタビュー手法を開発し、附属学校教員がキャリア形成過程に抱える様々な葛藤を明らかにするとともに、その支援に何が必要かを検討する。短期・長期両方の視座からその変容を調査することで、今後の教員研修等へのフィードバックも期待できる。
 

認知・脳科学部門 研究一覧

担当者 研究テーマ 内容
村田 真樹 目的:
 情報処理技術を用いて、発達障害・医療に関わる有益な情報の収集分析、発達障害の患者の音声言語的特徴の抽出を行う。

方法:
 テキストマイニングにより、新聞などの大規模テキストデータから、発達障害に関わる情報を収集する。発達障害の患者のデータと健常者のデータを比較し、患者特有の音声言語的特徴を抽出する。

予想される結果:
 発達障害に関わる有益な情報や患者特有の音声言語的特徴を抽出できる。発達障害に関連して、おさえておくべき概念の把握、発達障害の診断補助に役立つ知見の把握に役立つ。
 
谷中 久和
儀間 裕貴
田中 大介
寺川志奈子
関  耕 二
足立 和美
小林 勝年
附属学校を対象としたコホート研究 目的:
 附属学校部の児童・生徒とその保護者を対象として様々な学習および発達を調べる横断的かつ縦断的な調査を行い、発達や学習を促進する要因などを探るとともにさまざまな能力や特性の発達的変化を明らかにすることを目的とする。

方法・対象:
 質問票による調査、心理課題の手法と学校の持つ成績等のデータを組み合わせ、小学3年生から中学2年生までの児童・生徒およびその保護者を対象とした横断的かつ縦断的調査を行う。調査は学童コホート(小学3年生から小学5年生)と、思春期コホート(小学6年生から中学2年生)の2つを行う。

予想される結果:
 これらの研究成果から現在および将来の教育のあり方を検討することで、学校教育や保育現場、さらには家庭教育に対する重要な示唆が広く得られる。
 
前垣 義弘
大羽 沢子
小枝 達也
注視点検出による社会性発達評価に関するコホート研究 1歳6か月児健診の二次健診受診児約100名とエコチル詳細調査協力児約150名を対象として,注視点検出装置により注視点の選好性を調べる.対象児は養育者に抱っこされた形で,モニター画面を約2分間見つめるという簡単な検査である.この結果をもとに自閉性障害の疑い幼児を特定しておき、同年齢集団が3歳児健診と5歳児健診を受診した結果と照合して,注視点の選好性による結果の感度と特異度,陽性的中率,尤度をもとめ,注視点検出装置導入前の検出率と比較検討する.
  1. 米子市・境港市の1歳半・3歳・5歳児におけるコホ―ト研究
  2. エコチル詳細調査における2歳・4歳児におけるコホ―ト研究
前垣 義弘
大羽 沢子
小枝 達也
児童生徒の育ちと学びに関する調査(追加調査) 計算障害の診断と治療に関する研究
  • 計算障害をスクリーニングするツールの開発
    →鳥取大学附属小学校ならびに県内公立小学校での調査と検討
  • 計算障害をもつ児童への早期介入指導プログラムの開発
    →文献研究や症例研究等からプログラムを作成
  • 計算障害をもつ児童への早期介入プログラムの効果検討
    →計算障害のリスクを持つ子どもへの介入と効果測定
兼子 幸一
横山 勝利
清水 忠昭
テキストマイニング・音声分析による成人自閉スペクトラム症の診断可能性の検討  自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder ; ASD)患者の診断は、現症や本人や家族への面接を通して得られる情報を基に行われ、最終的に臨床医の判断によって行われる。現在、客観的な指標はなく、外来で簡便に行われているものは皆無である。

 本研究で用いられるテキストマイニングとはテキストを対象としたデータマイニングの総称である。データマイニングとは多量のデータの中から有用な情報を掘り出す(mining)ことである。会話内容などを記録し、それをテキスト化し、言語をコンピュータによる形態素分析にて単語単位に分割し、その大量のデータの中から、教師あり機械学習法などの統計処理を用い、会話内容がASD患者か否かの自動推定を試みるとともに、ASD患者に特有の言語パターンを抽出する。具体的には、被験者の発話中の単語、単語連続、文末表現、品詞の出現割合などを含めた特徴を利用し分析する。言語情報そのものを用いてASDの診断補助とする手法は、現在報告はなく、本研究の独自性と考えている。

 テキストマイニングとともに、音声分析も行う。被験者の音声における特徴、すなわち音韻スペクトルの周波数・強度、ホルマント周波数などを利用する。これらの特徴を利用することで、患者特有の抑揚のないモノトーンな口調などの音韻的特徴を検出する可能性がある。

 被験者を集め、最終的にASD患者群100名、健常対象群100名を対象とし、テキストマイニングと音声分析、そして質問ごとの発話量のバラつきなどを総合的に検証することで、ASD患者の診断補助を機械的に自動で行えるシステム・ソフトウェアの開発を目指している。
田中 大介 目的:
 無意識のうちに複雑な規則性を学ぶことができる現象を潜在学習という。これまで教育の分野ではあまり積極的に取り上げられてこなかったが、近年、漢字の読み、などをはじめとしたさまざまな学習の基盤的能力であると考えられており、注目を集めるようになっている。子どもたちのこうした能力を測定し、他の指標との相関を検討することで「潜在学習能力」の概念を明確にする。

方法:
 潜在学習能力を測定する課題はコンピュータゲームに類似した1名20分程度かかる課題である。学校と密接に打ち合わせた上で、実験者が小学校を訪問し、高学年の児童を対象に放課後等を利用してデータを取得したい。
予想される結果:
 「潜在学習」能力に関しては比較的個人差が小さいと考えられているが、「新奇性追求」といった性格特性に関わる指標や「学業成績」など認知的な能力との関係の中で概念を構築していきたい。
 
関  耕 二 児童・生徒の運動に対する意識と体力の関係についてはいくつか報告されているが、縦断的検討や思春期に絞った検討は少ない。また、保護者の運動に対する態度がその子どもの運動に対する意識や体力との関連についても限定的な対象でも報告がみられ不明なままである。
 そこで、本研究では、保護者自身の運動に対する態度(行動変容ステージ)と児童・生徒の運動に対する意識(運動有能感)が、児童・生徒の体力の関係を明らかにすることを目的とした。

研究方法
  • 附属小・中から新体力テストの結果をご提供いただく。
  • アンケートにより児童・生徒の運動有能感と保護者の行動変容ステージを把握する。
  • それぞれの結果を統計学的に分析していく。
 本研究の成果は、子どもの体力向上を目指すにあたり、家庭環境の影響や学校体育での運動嫌いを減少させるための基礎資料となる。