- 鳥取東高等学校出身
- 鳥取大学地域学部地域教育学科
2018年卒業
鳥取市立国府東小学校(6年生担任)
重永 大地(しげなが だいち)










一日だって同じ日はない毎日の中で
子どもも自分も、日々成長
「シゲピー!シゲピー!」
給食を食べ終え、体育館でフリスビーを使ったドッチボール「ドッチビー」を楽しんでいた子どもたち。あどけない笑顔と、はつらつとした声。その輪の中にいたのが、国府東小に来て4年目になる重永大地先生だ。
「以前2年生の学年を持ったときに、ある子が呼んでくれたのが最初でした。なかなか距離感があったところからそうやって呼んでくれるようになり、その呼び名が信頼の証でもあったのかなぁと、今は思いますね。でも、ちゃんと訂正はさせますけどね(笑)」
子どもたちと過ごす日々はとても充実しているという。ニックネームの由来をにこやかに話す顔は、どこか嬉しそうにも見えた。

小学3年生の時から憧れた「先生」
こんな大人になりたいなぁ−−。小学校3年生だった重永少年が、小学校の先生になりたいと思ったのは、担任だった若い男性の先生がきっかけだった。ドッチボールやいろんな遊びを休みのたびに付き合ってくれ、「先生からしたら鬱陶しかったかもしれないほど、ずっとくっついていた感じでした」。自身の教員採用が決まった時には電話をくれるほど、先生と教え子の絆は今も続いている。
「先生になる夢はずっと変わらなかったですね。高校や大学で塾の講師や学童のアルバイトをするようになって、やっぱり子どもと関わることって楽しいなあと思いました。小学生の段階って一番伸びる時期。変化が見えるし、そこがおもしろいです」
地元の鳥取大学地域学部で学ぶ中で、子どもを育てることへの興味関心は、より具体的なものへと変わっていった。卒業論文でテーマにしたのが、「子どもにとってどんな声掛けが一番響くだろうか」ということ。結論から言えば、答えは一つではないということだった。
「人なのか、内容なのか、何に影響されるのか調べましたがで、結局は人によって違うということしかわかりませんでした。でも、それが今に生きているというか。テンプレートのように、これを言っておけばという言葉なんてないし、いつも子どもにとって何が大切かを考えます」
そう、真っ直ぐな目で教えてくれた。「子どもにとって何が大切なのか」を考える時間が増えたことは、今の教育観の土台になっている。

大事なのは、思いを聞くこと
全校生徒が約60人の国府東小。それまでいた学校に比べると7〜8倍も子どもの数が違い、来年度は複式学級も検討されているとか。重永先生が担任を受け持つ6年生は8人のクラスで、コの字になって授業が行われている。
「対先生というスタイルでなくて、みんなで学び合う形がいいなと。少人数ならではの良さと言いますか、子ども同士のつながりも深くなるし、一対一で見ることができて細かな指導ができます。それに一人一人が他人任せでなく、何かしら力を発揮できる場面があるんですよね」
教員の本採用になって8年目。肩に力が入っていた成り立ての頃から、自分自身でも変化を感じているという。子どもたちは、その時その時でいろんな感情を抱えながら日々過ごしている。家庭環境も、その子の性格も、一つ一つの出来事も、同じものは一つとしてない。だからこそ、「一方的な指導だと伝わらない」。葛藤しながら、経験を積み重ねてきた。
「最初は『教員としてのあるべき姿』みたいなのがありました。でも、だんだんとそうじゃないんだってわかってきました。大切なのは、子どもたちの思いを聞くこと。例えば、一年生でも『大人が言えば伝わるだろう』と思っていても、子どもはちゃんと自分の考えを持っています。時には、素直に感情が出せないこともありますよね。わざと目立つ行動をする裏には、もっと見てほしい、褒めてほしいという本音がある。だから行動だけでは判断できません。でも、こっちが一生懸命向き合うことで相手に届くことがわかってきました」
だからこそ、子どもたちとの距離感を大切にしているという。
「授業の中だけでは距離って縮まらないと思っていて。何気ない場面でこそ縮まるものもあるんですよね。だから、遊びに誘われたら行くようにしています。なあなあの関係ではなく、困ったときに声をかけてもらえる存在になりたいなとは思っています」

「一日だって同じ日はない」
一日の中でも長い時間を過ごすのが学校だ。重永先生は、変わらぬ8人の6年生と毎日顔を合わせ、授業をし、休憩時間には一緒に遊ぶ。そんな毎日をどう感じているか聞くと、嬉々とした表情に変わる。
「毎日同じメンバーだけど、良いことも、そうでないことも、起きることは違うし、同じ日はありません。それに、やりがいってふとした時に感じるんですよ。一年間ずっと見ているからこそ『あ、ここが変わったな』と成長を感じることもあるし、難しそうな顔で問題に向かっていた時に、自分で解けた時の『あ、わかった!』という顔。ああいう顔を見ると、たくさん授業の準備をしてよかったなぁと思いますね」
一人一人が違うからこそ、面白いし、難しくもある。学習内容は学年によってある程度決まっているが、見ているのは学力だけではない。
「みんなが同じようにしても、学力はつかないし、学力以外でもその子の力を伸ばしてあげることはできません。ゴールは一緒でも辿り着くまでの過程は子どもによって違うというか。ゴールですか……?なんでしょうね。やっぱり、勉強だけでなく、得意なことやできることがあるし、その子に自信を持ってもらうことかもしれませんね」
子どもの根っこに水をあげるような仕事。それが教師という職業なのかもしれない。花を咲かせるために、よく見て、水をあげる。その過程において、別の楽しさもある。
「子ども同士の関わり方を見て、ああ、そういう優しさって大事だよなとか、根気強く勉強をする姿を見て刺激をもらうこともあります。自分自身が子どもたちに学ばせてもらいながら、教員として成長させてもらっていると感じています」
※教員のプロフィールは2025年度の情報です。