国際地域文化コース

日本と世界の様々な地域の文化と歴史を学ぶ


コースの目的・特徴

 私たちを取り巻く世界は、複雑さと多様さに満ちています。その複雑さと多様さの背景や成り立ちを知り、よりよく理解することは、現代社会を生きる上で必須と言えるでしょう。 国際地域文化コースでは、日本を含む世界の様々な地域とそこに生きる人々の歴史、文化、芸術、言語に関心を持ち、分析力や言語能力、現地感覚を身につけた人材を育成します。 そのための学びの柱として、日本列島で織りなされてきた歴史、言語、文化について多面的に学ぶ「日本の歴史と文化」、英語、中国語、韓国語の他に多様な地域の歴史と文化について学ぶ「グローバルな文化と地域」、芸術を通じて創造的活動の社会的役割を実践的に学ぶ「創造性とコミュニティ」という3つのプログラムを用意しています。


3つのプログラム

「学びの柱」となる3つのプログラム

日本の歴史と文化

 本プログラムは、日本列島で人と自然が関わりながら織りなしてきた歴史、言語、文化について多面的に学ぶプログラムです。歴史学、考古学、文化財保存科学の講義や実習を通じて、私たちを取り巻く歴史的環境の成り立ちや意義、保存方法について学ぶとともに、日本語学・日本文学の講義や演習によって日本の言語文化についての理解を深めます。また、欧米や東アジアなどの歴史や文化に関わる科目とあわせて履修することで、日本の歴史と文化を広い視野から捉えられるようになります。さらに、実践的な科目を通じて、地域の豊かな文化資源を再発見し、評価・活用する基礎を学びます。


グローバルな文化と地域

 本プログラムでは、世界の様々な地域の文化・歴史・社会・言語・文学・芸術などを幅広く探求します。例えば、近現代社会の成り立ちとその文化的特質、世界の様々な文化とその交流から生まれる変化、文化が生活においてもつ意味などを、多角的に 学びます。多様な文化が織りなす関係性を捉える視点を身につけることで、歴史や文化の違いを認め尊重しつつ、絶えず変化していく多文化的現実に柔軟に対応できる発想力と行動力を養成することを目指します。また海外での語学研修やフィールド演習等を通して、現地感覚・現場感覚を身につけながら、多文化的な状況で生じる課題に実践的に取り組んでいきます。


創造性とコミュニティ

 さまざまな芸術や文化の源である「創造性」は、私たちひとりひとりの生を充実させるものであると同時に、異なる文化を背負った人びとが共に暮らしていくために必要な「ゆるやかなつながり」の術ともなるものです。本プログラムでは、美術、視覚メディア表現、身体表現などを通じて生の豊かさや他者との関係を学ぶことで、自らの可能性を切り拓き、またアートマネジメントや文化政策を通じて「ゆるやかなつながり」が紡ぐコミュニティについて学びます。さらにフィールドワーク調査研究や地域の芸術活動への参加を通じ、異文化がぶつかりあう現代社会をより豊かなものへと変えていくために必要な専門的知識と実行力を身につけることを目指します。

海外実践教育・異文化交流

(主に国際地域文化コースによる)

I)海外フィールド演習|北米プログラム

 北米プログラムでは、アメリカ・ハワイ州を中心に、多文化社会とエスニシティについて考察するフィールドワークを行います。国の枠組みではとらえきれない「地域」やアイデンティティの複雑性について理解を深めます。


■参加者の声

 北米プログラムではアメリカ・ハワイ州オアフ島を訪れました。ハワイというとリゾート地のイメージが強いですが、その背景には先住民と移民を巡る長い歴史と現在も続く課題があります。また、ハワイは第2次世界大戦について考える上で外すことができない場所でもあります。

 このプログラムでは、真珠湾やジャパニーズカルチャーセンターなどを訪れ様々な側面からハワイについて考えました。また、プログラム中は自由時間が多くあり、観光したり、買い物したり、美味しいものをたくさん食べることができました。現地の人との英語でのコミュニケーションは大変でしたが、自分の言いたいことが伝わると達成感がありました。

 このプログラムに参加してハワイの歴史や文化について理解が深まったのはもちろん、日本との関わりについて考える機会にもなりました。1週間という短い期間でしたが、様々な経験をして、新たな知識を得ることができました。

II)東アジアプロジェクト

 中国、韓国、台湾、日本のそれぞれの歴史・文化的かかわりや独自性を現地調査を通じて学んでいくプロジェクトです。外国の協定校の教員と学生の協力を得て共同調査の形で行うほか、言語の授業及び学生交流も実施しています。海外プログラム三つ(中国・韓国・台湾)と東アジアの諸大学の学生を迎えて行う東アジアプログラムがあります。複数のプログラムに参加する学生が多く、多様な歴史・文化に触れて複数の言語を身につけた国際感覚をもつ人として成長していきます。

  • 1)東アジアプログラム(in 鳥取大学)
  • ・現地調査と発表、学生交流

    慶熙大学の学生たちと充実した時間を過ごすことができ、言語学習への意欲もより高まったプログラムだった。(2024年度参加 2年生)

    国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(1) 国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(2) 国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(6)
  • 2)中国プログラム(厦門大学)
  • ・現地調査と発表、学生交流、中国語学習

    現地調査や講義を通じて、厦門の歴史をより深く学べた。厦門大学の学生のサポートもあり、充実した5日間を過ごすことができた。(2024年度参加 2年生)

    国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(3) 国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(4) 国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(6)
  • 3)台湾プログラム(高雄師範大学)

    ・現地調査と発表、学生交流

    現地の先生方と台湾の開港について学んだ。また学生調査で街を探索し、台湾の生きた文化に触れることができた。(2024年度参加 3年生)

    国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(5) 国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(6) 国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(6)
  • 4)韓国プログラム(慶熙大学)
  • ・現地調査と発表、学生交流

    韓国の歴史・文化を中心に、日本と周辺諸国との共通点と相違点を学んだ。そして韓国の文化、雰囲気を肌で感じられ、貴重な経験となった。(2024年度参加 2年生)

    国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(7) 国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(8) 国際地域文化コース 海外フィールド演習|東アジアプログラム(8)

      → 鳥取大学地域学部 国際交流ホームページへ


地域調査プロジェクト

 地域調査プロジェクトは、地域学部の学生全員が2年次に履修する実習形式の授業です。国際地域文化コースでは、年ごとに教員が設定したテーマに基づき、4~5班に分かれて実施されます。班ごとに実習の進め方は異なりますが、専門文献の輪読や調査のほか、専門家によるレクチャー、美術館や博物館、専門機関への訪問なども行われる場合があります。最終的な成果を、発表会や論文として報告することを目指します。

国際地域文化調査実習

考古学フィールドワーク

 主に3年次の「国際地域文化調査実習I・II」において、地域の文化財について、野外では、遺跡の実態解明のための発掘調査などを行います。また、屋内では、出土した遺物の整理や分析などの作業も行います。

小劇場スペースの活用を考える

 鳥取大学地域学部附属芸術文化センター内の小劇場スペース「アートプラザ」の活用方法を考えます。照明等の技術講習会や、フェスティバルの視察などを経て、ここでのイベント開催の可能性や方法を考えます。わらべ館、米子コンベンションセンターなど地域の公共文化施設と協働することもあります。希望者は後期に「パフォーミングアーツ実践」という授業でワークショップの参加や実施、ダンスや音楽劇などの公演、コンサートの開催などを実現することができます。

卒業論文

卒論題目

  • 写真から見る中国营口における居留地の形成(1861-1931)
  • 谷崎潤一郎「春琴抄」論 ―師弟関係の成立ー
  • 人口減少社会における商店街の必要性 ~コミュニティの拠点への変革~
  • 大学進学時の野球活動における継続と離脱に関する研究
  • 日本における外国にルーツを持つ人々の歴史と現在
  • 鳥取方言における助詞
  • レポ漫画研究 ~ファンアートにおける記録性と反復性~
  • 『宇宙戦争』におけるリアリティ表現とその効果
  • 日清・日露戦争期における鳥取県の戦没者慰霊
  • 女性の抽象 ー戦後日本の前衛芸術家集団に属した女性画家たちー
  • カンボジア農村部の教育の現状と課題
  • 現在時制語りの研究 ーThe Handmaid's Taleを事例に
  • 『明恵上人伝記』に見る明恵の生き方 ーインドへの憧れを形にする方法ー
  • 倉吉市における文化財の持続可能な保存・活用方法
  • 近世における東アジアと日本 ー倭館・唐人屋敷を通した近世日朝・日中関係ー

特色あるカリキュラムの紹介

カリキュラム

 コース展開科目は、選んだプログラムの科目を中心に、他プログラム・他コースなどの科目を選択して履修します。表には、各プログラムで推奨する他コースなどの科目を示しています。

卒業生の声

神戸大学大学院国際文化学研究科

2024年3月 国際地域文化コース卒(創造性とコミュニティプログラム) 杵島和泉

 現在、神戸大学大学院に進学して鳥取県の映画館・映画観客に関する研究を行っています。ゼミに所属した大学3年生から現在まで、歴史や文学、芸術、学芸員資格取得のための実習など、専門の幅が広いこのコースでの学びが全ての土台になっています。鳥取県内における映画興行の在り方や観客の映画受容の変化を明らかにするために、学外に赴いて映画館跡地を巡る現地調査を行ったり、展覧会「見る場所を見る」をはじめとするプロジェクトの企画・運営を通して地域の方々と交流したりすることで、楽しみながら実践的な知を養うことができたと感じています。鳥取大学での4年間で培った経験と大学院での新たな学びを最大限に活かして、より充実した研究生活を送りたいと思います。    

株式会社エイチ・アイ・エス 勤務

2025年3月 国際地域文化コース卒 内田栞璃(グローバルな文化と地域)

 大学入学前から東アジアの歴史・文化・言語に興味を持っていたため、在学中は東アジアプロジェクトへ計4回参加しました。現地での調査や学生交流を通して、多様な視点から物事を捉え、異なる歴史・文化背景を共有し、相互理解を深めることの大切さを実感しました。このプロジェクトへの参加は私にとってかけがいのない経験となりました。こうした経験から、「現地だからこそ味わえる特別な体験を、より多くの方々に提供したい」という思いが強まり、現在の会社で働くことを決めました。旅行会社の業務は、個人旅行の企画・販売のみならず、訪日インバウンド事業や国内の地域創生事業の企画・運営など多岐に渡っており、それぞれのニーズに応えられるよう、サポートしていく必要があります。大学での経験を活かし、国際的な視点を持って社会に貢献できるよう邁進していきます。

倉吉市役所 勤務

2025年3月 国際地域文化コース卒 小谷奈月(日本の歴史と文化)

 大学では、以前から関心を持っていた文化財について学びを深めました。ゼミの先生に声をかけていただき参加した韓国および中国でのプログラムでは、各国の文化に触れ、街並みや歴史を直接見聞きすることができ、大変刺激的で貴重な経験となりました。また文化財の保存活用について研究を進める中で、文化財を後世に伝えていくためには、地域住民の理解と協力、そして行政の支援が不可欠であることに気づきました。これからの大学での取り組みを通して、実際に現地に足を運び、自分の目で確かめることや、地域の方々の声に耳を傾けることの大切さを学びました。現在は地元の市役所で観光業務に携わっています。大学での学びを活かし、地域住民の目線に立つことや、海外の事例も参考にしながら広い視野を持って、地域の魅力を引き出し発信することを意識しています。行政の立場として地域住民の暮らしを守り、倉吉市をより元気で魅力あるまちにしていくことが、私にできる地元への恩返しだと考えています。今後どの部署に配属されても、この思いを忘れず、誠実に、そして情熱を持って取り組んでいきたいと思います。

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