地域創造コース

個性豊かな、ゆとりある地域をつくる

学びの目的

人口減少社会を迎えた今日、地域を取り巻く環境や解決すべき課題はより一層複雑化、多様化しつつあります。少子高齢化や都市部への人口集中、過疎化の進行、地域コミュニティの希薄化、中心市街地の空洞化、した地方財政など、これらの課題は相互に関連し合う側面もあります。こうした地域課題に正面から向き合うには、地域づくりのための様々な分野からの理論形成と、自治体・住民・NPO・企業等の多様な主体の恊働による実践が求められています。地域創造コースでは、従来の発想のとどまらない新たな地域課題解決の手法を探求し、地域の望ましい姿を構想できる、「地域創造」に資するキーパーソンの養成を目指します。

学び・研究のテーマ

  • 自治・分権を中心とした自治体制と法
  • 自治体における地域計画のあり方
  • 行政と住民とのパートナーシップを推進するための方策
  • 住民の生活を豊かにするための地域組織のあり方
  • 地域経済を発展させる公共政策のあり方
  • 社会的課題を解決し地域の活性化を促すビジネスのあり方
  • 地域の生活課題や福祉ニーズに対応した地域福祉のあり方
  • 地域固有の資源を活用した豊かな地域のあり方

地域調査プロジェクトの取り組みについて

 2年次必修科目の地域調査プロジェクト(旧名称「地域調査実習」)では、地域創造コースの2年生全員が特定の調査対象地域に実際に足を運び、自らの関心や問題意識にしたがって地域の現状や課題を明らかにするとともに、今後の地域づくりに向けた提案などを行います。この取り組みを通じて学生は、社会調査や地域分析の基礎を身につけるとともに、住民との交流や報告会の開催などを通じてコミュニケーション力やプレゼンテーション力などの技能を磨きます。そして3年次以降は、この地域調査プロジェクトで培った基礎力の上に専門的な知識や技術を積み上げ、総仕上げとしての卒業研究に挑みます。

 本プロジェクトでは、地元自治体の多大な協力のもと、これまで湯梨浜町(2005~07年度)、岩美町(2008~10年度)、鳥取市南部地域(河原・用瀬・佐治)(2011~13年度)そして琴浦町(2014~16年度)を対象地域として調査活動を実施しています。そして1年間の活動の成果は、年度末に現地で開催する報告会や、詳細な調査報告書を作成することによって公表されます。このように「地域調査プロジェクト」は、「知と実践の融合」を基本理念とする鳥取大学の教育グランドデザインや、「地域づくりのキーパーソンの養成」という地域学部創設のコンセプトを代表する授業だといえます。

3つのプログラム

「学びの柱」となる3つのプログラム

コミュニティマネジメントプログラム

コミュニティマネジメントプログラムでは、都市や農村における生活環境や人々のつながりなど、コミュニティを形づくる諸要素について理解を深め、持続的なコミュニティを創造する手法や担い手のあり方について学びます。そのような学びをとおして、コミュニティに蓄積されてきた生活の知識を掘り起こし、様々な分野の専門的知識と組み合わせながら、コミュニティの力を引き出していくコミュニケーション力やコーディネート力を身につけます。自治体や非営利組織、民間企業など、そして、地域の活動や生活の場をつうじて、地域創造を担う人材の養成を目指します。

ソーシャルビジネスプログラム

ソーシャルビジネスプログラムでは、地域経済の構造や現状を世界経済や日本経済、コミュニティなどとリンクさせながら重層的な視点で把握した上で、地域経済を発展させる公共政策のあり方や現代社会におけるソーシャルビジネスの意義とその可能性を学びます。この学びを通して、地域全体を俯瞰して現状や課題を把握する能力や「新しい価値」を構想して実践する能力などを身につけます。このような能力を身につけることで、地域課題を解決する起業家、地域を土台にして活動を行う民間企業や非営利組織、自治体などで活躍できる人材の養成を目指します。

政策科学プログラム

政策科学プログラムでは、地域の自治や政策過程に関わる政治・行政のしくみを学び、また公共部門と住民の協働など地域における参画・意思決定のあり方を学ぶことによって、地域の公共的諸課題を解決するための実践力を修得します。この実践力とは、政策科学の基礎的・標準的な理論・方法を今日的課題に応用するための能力です。これらの学習を通して、自治体などの公共部門を始めNPOや民間企業において、政策や事業の企画・立案などを通じ地域に貢献することのできる人材の養成を目指します。

地域調査プロジェクト 一年の流れ

地域づくりのキーパーソンを目指して取り組む

地域創造コース『地域調査プロジェクト』の概要

地域調査プロジェクトとは

 「地域調査プロジェクト」(旧「地域調査実習」)は、地域学部生全員が履修する実習科目で、地域創造コースでは、2年次の1年間にわたって県内の特定の市町村を対象地として地域の現状や課題を調査研究します。

 プロジェクトの調査活動は、学生と教員がそれぞれテーマ別に編成されたグループに分かれて実施します。グループ活動においては、学生は担当教員の指導のもとチーム又は個人を単位に調査に取り組みます。そして、それぞれ調査の目的や方法を明らかにするとともに、文献や資料を収集したり現地でヒアリングやアンケートを実施するなど、デスクワークとフィールドワークを織り交ぜながら調査を進めます。

3年ごとに変わる調査対象地

 2005年にスタートしてから今日まで、「地域調査プロジェクト」は、3年ごとに鳥取県内の4つの自治体と連携しながら調査研究を進めてきました。これまでに調査対象地として連携した自治体は右表の通りです。2017年度からは、5つ目の自治体として八頭町と連携してプロジェクト活動を実施します。

期間 調査対象地
2005〜2007年度 鳥取県湯梨浜町
2008〜2010年度 鳥取県岩美町
2011〜2013年度 鳥取市南部(河原・用瀬・佐治地域)
2014〜2016年度 鳥取県琴浦町

グループ編成と主な調査タイトル

 「地域調査プロジェクト」のグループ編成は、2016年度を例にすると、①「政策過程と総合戦略」、②「地域資源活用・地域経済」、③「地域コミュニティ」、④「生活行動」、⑤「行政サービス」の5つでした。それぞれのグループによって調査の主たる対象やアプローチ方法が異なりますので、学生は各グループの特性と自分の興味関心をよく検討したうえで所属するグループを決定します。

 グループ内での活動は、担当教員の指導を受けながらチーム又は個人で実施します。その際学生は、自らの関心に沿って具体的なタイトルや調査方法を決めて調査研究に取り組みます。2016年度のグループ別の調査タイトル(一部抜粋)は以下の通りです。

グループ編成 主な調査タイトル
(A)政策過程と総合戦略
  1. 琴浦町における地方自治について
  2. 畜産に対する行政支援の可能性
(B)地域資源活用・地域経済
  1. 地域資源として白鳳祭を活用するために
  2. NPO法人琴浦グルメストリートプロジェクトの現状と課題
(C)地域コミュニティ
  1. 塩屋集落の住宅に現れる地域のコミュニティのあり方
  2. 「あすの以西を創る会」のこれまでの活動と地域における役割
(D)生活行動
  1. 高齢社会対策としての「小さな拠点」づくりの提案〜琴浦町の旧中心的地区を活用して〜
(E)行政サービス
  1. 琴浦町における子育て支援の課題について考える
  2. マイナンバー始動!!〜琴浦町での独自利用を考える〜

取り組み成果の公表

 春から取り組んだ調査活動の成果については、例年12月に実施される「学内報告会」と年度末に実施される「現地報告会」で発表します。

 チーム又は個人による調査は、ひとまず12月の「学内報告会」を目指して取り組みを進めます。「学内報告会」では、地域創造コースの2年生と教員が一堂に会してグループごとにプレゼンテーションを行い、質疑応答を通じて調査の不足点や課題を明らかにします。「学内報告会」が終わると、いよいよ1月末の最終締め切りに向けて、調査研究を完成させるべくラストスパートに突入します。

 年度末の2月には、優れた調査活動が選抜されて「現地報告会」が開催されます。こちらは学内報告会と異なり、調査活動でお世話になった地域の方々をお招きするなど、地域住民に開かれた発表の場となります。

 1年間の調査研究の締めくくりは、「地域調査プロジェクト報告書」(現「地域調査実習報告書」)の作成です。各グループごとにこれまでの活動実績や成果を報告書としてまとめるとともに、お世話になった調査対象地の自治体や関係者に送付します。また、県内の自治体や大学の図書館にも収蔵されるなど、市民に向けて広く公表されます。

1年間の活動の流れ

4月 〜今年度のプロジェクトがスタート!

プロジェクトがスタートしてからしばらくは、全員大教室に集まって、教員や自治体関係者から、調査対象地の特徴や課題を多角的に学びます。

5月 〜エクスカーションで調査地を巡る!

全員が調査対象地を訪問し、地場産業や伝統文化、観光資源やコミュニティなどの様子を地域を巡りながら確認するとともに、どんな調査をしたいかイメージを膨らませます。

琴浦町でのエクスカーションの様子(2014〜16年度)
菊港の波しぐれ三度笠像
赤碕漁港でのセリの様子
光集落の鏝絵となまこ壁
重要文化財の河本家住宅

5月下旬~ グループ別の調査活動へ移行!

エクスカーションが終わると、いよいよグループ別の調査活動に移ります。6月から11月までの半年間は、グループで改めて現地視察を実施したり、ヒアリングやアンケートで必要な情報を収集するなど、多様な活動に取り組みます。

役場でのヒアリングの様子
住民へのアンケート調査
岩美町の荒金銅山を視察

12月 〜学内報告会で成果を発表!

調査活動の成果発表の第一弾は学内報告会。グループごとに全員が取り組み内容を発表し、質疑応答を通じて調査の不足点や課題を把握します。学内報告会には、調査地の自治体の担当者にもお越しいただき、報告に対してご意見を頂戴します。報告会が終わると、いよいよここから1月末の締め切りを目指してラストスパートに突入です。

2月 〜お世話になった皆さんに向けて現地報告会を開催!

学生の調査活動のうち特に優れたものは、2月に開催される「現地報告会」でのプレゼンに進みます。こちらは「学内報告会」と異なり地域住民が自由に参加できるもので、お世話になった地域のみなさんへのご恩返しの機会にもなります。

当日は残念ながらプレゼンに選出されなかった活動についても、ポスター掲示によって成果を発表します。

3月 〜プロジェクト報告書を完成させて一般市民に公表!

1年間の調査活動の締めくくりは、「地域調査プロジェクト報告書」(現「地域調査実習報告書」)の作成です。グループごとに作成した原稿を冊子化したものを、お世話になった調査対象地のみなさんに送ってご恩返しするとともに、県内の図書館にも寄贈して一般市民に広く公表しています。

卒業論文

卒論題目

  • 犬・猫が殺処分されない社会の実現
  • 行政の電子化における今日的課題と展望
  • 京都市における京都駅周辺地区の商業開発の展開と京都駅前地下街ポルタの機能変化
  • 国土強靭化に関する考察
  • コミュニティビジネスの事業変化に伴う地域との関係についての研究
  • 資源としての空屋-秘められた可能性-
  • 大山スキー場の現状と新たな振興策
  • 地域資源を活かした観光まちづくり
  • 地域と木質バイオマスの関係
  • 地域メディアと「パブリック・アクセス」
  • 地方都市圏におけるコンパクトなまちづくり
  • 中心地の変化と歴史的資産を活用したまちづくり
  • 都市における公共交通の特性と課題
  • 鳥取県における移住定住の動向
  • 長崎県に見る「平成の大合併」
  • 農山村住民によるコミュニティ・ビジネスがうみだす効用に関する研究
  • 農山村地域における移住者の定住と離村の要因に関する研究-移住先発地出身者からの考察-
  • マイナンバー制度の導入による影響と今後の展開
  • まちづくりにおける組織とネットワークについて
  • リーダーを作り出す智頭町のしくみとは

特色あるカリキュラムの紹介

地域創造コースとは

少子高齢化、国際化、情報化など、地域を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。こうした変化は地域にこれまで以上に多くの課題を生み出しています。「地方創生」が叫ばれる今日においては、地域に関わる多様な人たちの新たな関係を模索しながら再構築し、地域における自然環境や人的・物的・歴史的・文化的資源を見つめ直し、能力を高めながら、自らの地域を築きあげていくことが求められています。

地域創造コースでは、このような知と実践の融合を求めて、地域を空間的に把握する力、そこで活動するさまざまな主体を捉え、主体どうしの関係性を見出す力、それらを支える制度を理解する力、さらには地域間を結びつける力など、これらの力にトータルに目配りができる広い視野を持ち、地域の課題解決に積極的かつ主体的に取り組む「地域創造」の担い手となることを目指します。

学びのイメージ

3つの新たな地域創造の手法 主な専門科目

これからの地域づくりにおいては、地域課題を「政策」として解決することに加え、固定観念にとらわれない新たな手法も取り入れながら、複雑な地域課題の解決に挑み、地域の将来像を「創造」していくことが重要となります。より良い地域をつくり上げるためには、地域づくりに関わる主体と手法の多様性を、これまで以上に強く意識し学びを深めることが不可欠であると考え、私たち地域創造コースでは、カリキュラムの充実を図りました。つまり、これまでの地域政策学科が掲げてきた問題意識をより一層明確にし、具現化したものが、地域創造コースが目指す学びのスタイルです。

4年間の授業科目

※科目名に付した数字は単位数。「地域創造ゼミⅠ・Ⅱ」は選択必修科目(2単位以上修得)。


学部共通科目 コース開設科目
必修科目 選択科目
1

地域学入門(2)
地域フィールド演習(1)
地域の課題と創造(2)
地域社会論(2)・地域計画論(2)
自治体政策過程論(2)
統治機構論(2)・都市地域論(2)
社会福祉(2)・企業と地域(2)
地域調査法(2)・基礎ゼミ(2)
-
2

海外フィールド演習A(2)
海外フィールド演習B(1)
海外フィールド演習C(1)
産業立地論(2)・地域経済論(2)
現代日本の政治過程(2)
農村地域論(2)・ 自治法論(2)
住民組織論(2)・ 創造地域論(2)
マーケティング入門(2)
地域調査プロジェクト(4)

行政評価論(2)・都市再生論(2)
多文化共生社会論(2)
ジェンダーと法(2)・地域福祉(2)
都市圏整備論(2)・地域政治学(2)
ワークショップ入門(2)
地域資源創生論(2)
福祉行財政(2)・社会保障法(2)
地域創造特殊講義(2)
地域創造ゼミⅠ(2)
地域創造ゼミⅡ(2)

3

地域学総説A(1)
地域学総説B(1)
地域学総説C(1)
融合ラボ(1)
インターンシップA(2)
インターンシップB(1)
インターンシップC(1)
専門ゼミⅠ(地域創造)(2)
専門ゼミⅡ(地域創造)(2)

行政法(2)・地域参画論(2)
地域振興論(2)・社会的起業論(2)
文化政策論(2)・むらおこし論(2)
地域プロジェクト論(2)
地理情報基礎演習(2)
政策評価論(2) ・地域財政論(2)
地域社会とエスニシティ(2)
経営戦略論(2) ・比較地域論(2)
情報メディア法(2)
ソーシャルマーケティング論(2)
コミュニティ創造支援論(2)
地域包括ケア論(1)

4

- 卒業研究(8) -

卒業生の声

集英社の漫画誌『Cocohana』で漫画家デビュー

2009年3月 地域政策学科卒 武田 愛子

私が地域学部で学び、今でも大きな力になっているのは、インプット・アウトプットの作法です。フィールドワークでインプットした経験を、ゼミで議論し、アウトプットしていく。そうして形になっていったのが卒業論文です。フィールドワークでは、未知の領域に入り自分の視野を広げる大切さを、ゼミでは自分の経験を仲間と分析し、表現していくことの面白さを存分に学ぶことが出来ました。私は漫画家としては本当にスタートラインに立ったばかりで、まだまだ未熟ですが、漫画を描くうえでも、最も重要だと思っているのはフィールドワークです。部屋に閉じこもっていても、いいお話は描けないなぁと…(笑)。人との出会いや、新しい経験を大切にしていきたいと思えるようになったのも、地域学部で苦楽を共にした仲間のお陰です。まだまだ漫画で描きたいことはたくさんあります。大好きな地元の魅力も、いつか漫画で描けるよう、精進したいです。

島根県庁勤務

2014年3月 地域政策学科卒 小村 貴美子

私は大学在学中より、地元島根県の「活力あるしまね」づくりに携わりたいと考え、県職員(地方公務員)になりました。現在は防災危機管理課に勤務し、災害時の対応の他に、県民向けの防災に関する講演会や研修会の開催などを担当しています。学生時代は、学生主体で調査を進めるフィールドワークなどを通じて、地域で発見された課題を解決するためのアイデアを自分たちで出し合ってどうすればよいのかを調べ、考えていくことで課題を解決する力を養いました。現在はこうした経験が、どうすれば県民のみなさまに「災害は他人事ではない」と危機意識・防災意識を持ってもらえるのか、災害に強い地域を作るために地域住民へどのように働きかければよいのか、と日々考えながら仕事をすることに活かされています。今後は島根県庁で様々な業務に携わりながら、大学で培った力をさらに磨き島根県の発展のために仕事をしていきたいと思っています。

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