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ランドークレフナー症候群(後天性てんかん性失語)
1.概念
 言語発達が正常な小児に発症する、脳波で極めて頻発する発作波を伴う後天性失語・聴覚失認で、70〜80%はてんかん発作を示す。てんかんや脳波異常は抗てんかん薬やステロイドで比較的容易に消失するが、言語症状は長期にわたって改善せず、一部は高度の中枢性の言語聴覚障害とそれに起因する後遺症を示す。後述のESESを示すてんかんの亜型という考え方が強いが、本態は聴覚領である側頭葉Heschl回付近を責任病巣とする聴覚失認と考えられている。
2.手がかり
  言語発達が正常な幼児〜小学生が、聞き返しの増加、音声への反応低下などの難聴症状を示し、言葉や音韻の間違いがおこり言語不明瞭になり、発語が減少・消失した場合に本症を疑い、脳波を検査する。進行すれば後天性失語、聴覚失認、語聾となる。前後して多くはてんかん発作が起こるが、てんかん発作の有無にかかわらず、脳波で睡眠時に全般性持続性棘徐波または極めて頻発する両側性広汎性棘徐波を示せば本症を考える。
3.頻度
 小児てんかんの中で0.2%という報告がある。
4.原因
 後天性てんかん性失語と呼ばれるが、発作や脳波異常などてんかんの症状が改善しても言語聴覚症状は改善せず、ステロイドや免疫グロブリンで改善することがあることから、脳の炎症や免疫学的機序も疑われているが、原因は不明である。
5.中核症状
 知的発達、言語発達が正常な幼児〜小学生に、聞き返しの増加、音声への反応の低下など聴力障害を示唆する症状が起こり、次いで言葉使いや音韻の間違いが多く言語不明瞭になり、発語が減少・消失する。前後しててんかん発作(部分発作または全般発作)を伴うことが多い(70〜80%)。発症年齢は2〜8歳で、5〜7歳にピークがある。
 言語症状は、時期によって、感覚失語、全失語、言語性聴覚失認、非言語性聴覚失認、純粋語聾まで種々の形をとりうる。呼びかけに反応しないので、ADHDや自閉症と誤られることもある。
 急性期には多動、多弁(無意味な語)、突然の興奮や乱暴などの行動異常を伴うことも多い。
6.診断のための検査
 脳波では、てんかん発作の有無にかかわらず、高振幅で反復する棘波、棘徐波が頻発する。病初期には片側性のことが多く、側頭部、次いで頭頂・後頭部に多い。睡眠時には、1-5Hzの全般性棘徐波が連続するelectrical status epilepticus during slow wave sleep(ESES)または極めて頻発する両側性の広汎性棘徐波を示す。 
 純音聴力検査はほぼ正常で、聴性脳幹反応、頭部MRI/CTには異常を認めない。
 知能検査で動作性IQはほぼ正常範囲だが言語性IQが著しく低いという乖離を示す。
7.治療
 てんかん発作は発作症状に応じた抗てんかん薬(バルプロ酸、ベンゾジアゼピン系、エトサクシミドなど)で容易に止まることが多いが、頻発する発作波はなかなか改善せず、ステロイドを要することもある。
 言語障害に対しては、ステロイド経口、ガンマグロブリン静注が有効という報告があり、また発作焦点に対するMST(軟膜下多切術)により言語機能が改善したという報告が増えている。
 言語療法を行うが、通常行われる視覚経路による難聴児への教育では容易でないことが多い。
ランドークレフナー症候群 プレドニゾロン治療前後の脳波
8.合併症・後遺症
 てんかん発作は全身性強直間代発作、部分運動発作、非定型欠神発作、片側間代発作を示すが、複雑部分発作は少なく、強直発作はない。発作波が極めて頻発するにもかかわらず発作頻度は少なく、発作は止まりやすく臨床発作を示さないものもある(臨床発作は70〜80%)。
 失語症は、感覚失語から全失語、非言語性聴覚失認、言語性聴覚失認、純粋語聾までの形をとりうる。聴覚障害のため、情緒発達や全般的な認知の障害、注意力の障害を生じ、また、純音聴力はほぼ正常なのに言語音の聞き取りが極めて悪いため、周囲の理解が得られず、うつ状態や心身症などを伴うことが少なくない。言語機能の正常化は20〜30%とされる。
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