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09-1: 地域の記憶を記録する−メディア編

11月定例ゼミレポート(今林)

09-1: 地域の記憶を記録する−メディア編 11/20開催レポート(今林)

2020.03.24

テキスト・イラスト:今林由佳

学生達は、これまでのインタビューを、メディアにまとめる段階に入っていた。

“あるひと”のことをまとめる時、聞き取った情報を羅列するだけで、いいのだろうか。

何人かの学生は、当初想定していた「切り口」や「まとめ方」に疑問を抱え、当惑していた。
相手の存在感を立ち現せていないという、もどかしさにみえる。

豊かで複雑な“あるひと”の人生と人間性に触れると、触れたものは揺れ、呼応する。
揺れや呼応も“あるひと”の存在の事実を立証するカケラかもしれない。

メディアにまとめたものを、第三者が触れる時、何が起こることを期待しているのか、
聞いてみたくなった。

話は変わるが、

私は「遠慮しすぎて、空回りする」ことがある。

研究会後、コーディネーターの蛇谷りえ氏に相談してみた。
彼女はまるで、空気がたくさん入った紙風船を、ポーンと投げるようにこう言った。

「脳内でたくさん編集してるやろ。
それをやめて ぽ~んと、投げかけてみたらええやん。
みんなで転がしてったら、面白いやん。
最後に回収できれば、それでええやん。」(方言は再現できず陳謝)

学生さんのモヤモヤしたものと、私の悩みは、似てるように思うのだ。

自分をスッパ抜かずとも、説明しきらずとも、かっこよくまとめきらずとも、
曖昧な余白に預けて、転がり始めるような…

今回の研究会の様子をみて感じたことを絵にしてみた。
ぽ~んと、投げます。

次回の研究会は、最終の研究発表会だ。

《 “あるひと”のことをまとめるとき》

 

今林由佳(いまばやし・ゆか)

1985年生まれ。アニメーション作家・絵本画家・イラストレーター。千葉県船橋市で育つ。東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業。同大学大学院映像研究科アニメーション専攻を修了。NHK “おかあさんといっしょ” にて『メダルあげます』、“みんなのうた” にて『ピヨの恩返し』などの子供向けの映像制作を担当する⼀⽅で、戦時、福祉、医療の領域でドキュメンタリーなどを基調とした映像を多く⼿がける。著書に、しかけ絵本『どうぶつぱっかーん!』シリーズ(わだことみ・作/東京書店)、『うれしいひのいただきまあす』(わだことみ・作/ハッピーオウル社)がある。

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